「これでも“郵政民営化”に反対しますか」
郵政公社がやっている仕事を、「民営企業並に効率化し、顧客に満足を与えられるサービス業」に変身させることには、私は賛成だ。ただそれが、「民営化」によって実現できるかどうかについては、いまだに「?」である。
『プレジデント』のWebサイトに、竹中平蔵大臣の連載記事が掲載されており、今月号はその最終回ということで、「郵政民営化」についての内容であった。そこで、「民営化4つのメリット」を掲げている。
竹中平蔵大臣の「構造改革」日記/プレジデント オンライン
2004年12.13号 第32回(最終回)
これでも「郵政民営化」に反対しますか
<国民にもたらす4つのメリット>
[1]350兆円が民間のものになる
[2]2万4000のコンビニチェーン
[3]公務員が減る
[4]国の財政に貢献する
〔詳しい内容については、該当サイトで見てください〕
[1]と[4]については、マクロの動きなので、その効果については私には分からない。
[1]は、これまで、年金などといっしょに「財政投融資」として流用されて、どこでどれだけ何のために使われたか分からなくなっているものもあるんじゃなかったっけ? これが、銀行預金と同じように、市場に出回ると、どーなるの? 預貯金の利率も民営並になっちゃうの?
[4]の納税については、民間企業と同じ税率でキッチリ納めるようになるんだろうか? 経営体力は十分なのだろうか?
平蔵さんの説明で、ド素人が読んでも「?」というのが[2]と[3]である。
[2]2万4000のコンビニチェーン
>>民間と同じ競争レベルに立つと、多くの商品を扱うようになったり
>>長時間営業が可能になったりする。
・・・いや、たしかに店舗はいっぱいあるよ。でもさ、そこに出す「商品」は、どっから調達してくるわけ? 「旅行業の代行」とかって言ってるけど、民間の業者が足りないというような話は聞いたことがないし、JRなんかもがんばってるわけでしょ? それから、モノだったら、どうやって山村の一軒家みたいな郵便局へ運ぶわけ? 在庫管理はどうするの? 物流のノウハウはあるの? 長時間営業やって、その給料は払えるの? 国から“支給”されなくなるわけでしょ? 独立採算で払えるわけ?
[3]公務員が減る
>>公務員として日本郵政公社で働いている人員は現在28万人だ。
>>この28万人が公務員でなくなるわけだから・・・
・・・うんうん。公務員じゃなくなるのね。「国」が給料を払わなくてよくなるのね。「国のお金」は使わなくて済むから、その分、国民から集めた税金が浮くわけね。で、[2]とも関連するかもしれないけど、いったい、どれくらいの水準の給与が支払い可能になるの? それぞれの郵便局の「経営努力と成果」に比例して、給与額はバラバラにしちゃうの?
だから、最初に言った通り、「郵政公社を、民営企業並に効率化し、顧客に満足を与えられるサービス業に変身させる」という意味での「民営化」には賛成なんだけど、本当に、あとあと大丈夫なのかどうか、郵便局員とその家族や、国民にシワ寄せが来ないのかどうか、そのあたりを聞きたいわけよ。ね?
いっそのこと、郵便事業は、既成の民間企業に任せちゃった方が、ラクなんじゃないかと思ったりして(笑) 保険も民間ががんばってるしね。貯金は、銀行より利率が良いことと、全国どこでも利用できる「窓口数の多さ」が便利だったけど、今は銀行もいろんな金融商品を扱うようになってきてるし、ATMの数も増えて、手数料ゼロのサービスもどんどん増えてるし、インターネット・バンキングも増えてるし、だんだんと「郵貯ならでは」の魅力は減って来てるからねえ。
郵政公社のやってる仕事を、民間に分配しちゃった方が、簡単なような気がする。国から独立して十分にやっていける「アタマの良い人材」は、少なそうだもん。
※お勉強用記事
●役所がやると、どうして失敗するのか。
「会社の仕組み。これが間違い!!」(ブログ)
◎上記の元記事が期限切れの場合は、下記へ跳んでください m(_ _)m
竹中平蔵の「構造改革日記」 PRESIDENT Online