二条河原落書

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カテゴリ:医療/生命倫理( 114 )

「死因不明社会ニッポン」   

『チームバチスタの栄光』の原作者・海堂尊が、『死因不明社会』という書を出したという。
 ※「チーム・バチスタ」の本当の敵は~『死因不明社会』 海堂尊著(評:後藤次美)
  〔NBOnline 2008年1月25日〕

日本の解剖率の低さの主な原因は、「遺族の了承が取りづらいこと。厚労省の怠慢な医療行政」の二つだそうだが、異状死の遺体に対して、遺族の了承を得ずに解剖を執行できる強制力をもっている「監察医制度」が設置されているのは、東京23区、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市の5都市だけ。一方、それ以外の自治体は、異状死の遺体であっても、自治体は解剖の強制力をもっていないのが実情だそうだ。

「犬山市」で、元力士の若者が、集団暴行を受けて亡くなった「出来事」が、「事件」として扱われるようになるまで7ヶ月もかかったのには、そういう事情もあったのだろうか。
(まあ、第一の原因は、警察署の怠慢だと思うけれども。怠慢というより、もっと複雑な裏事情があるのかも・・・と勘繰りたくなる。)

しかも、日本では「火葬」があたりまえで、遺体に残った証拠も消滅してしまう。
元時津風親方も、「こちらで火葬にします」と、親御さんに了解を取ろうとしていた。
 ※「変死体とともに葬られる犯罪」
  ~死因不明国家ニッポンの危険すぎる検視精度と法医学の未来
  〔Newsweek 2008/02/06号

最近、CATVで、アメリカのTVドラマ『CSI(科学捜査班)』のシリーズをときどき見るが、「ここまで分かるのか?!」と驚く。日本の刑事ドラマなど、“ままごと”のように感じる。
もちろん、科学分析の技術だけでは不十分で、鋭い推理力と想像力も必要だが。


「検死」の手法や技術もお粗末だが、状況証拠や人間関係を調べて、きちんと分析し、加害・被害関係をはっきりさせ、適切に対処するのもお粗末。
だから警察も、「自白」を絶対視することになるんだろうと思う。

「いじめと無関係」 白樺高生自殺で校長
 〔北海道新聞 2008/02/08〕
十勝管内芽室町の私立白樺学園高校の男子トイレで六日、一年生の男子生徒(17)が首をつって自殺した問題で、同校の木下修校長は八日、校内で記者会見し、昨年六月に上級生からこの生徒に対し、いじめがあったことを認める一方、このいじめと自殺とは「まったくかかわりない」との見方を示した。

 校長によると、生徒は昨年六月、上級生一人から殴る、けるなどの暴行を受けたが、木下校長は「上級生には死亡した生徒に接触しないよう言って聞かせた。見えないところで接触していたかもしれないが、定期的に観察した結果では接触していなかったので、自殺の直接の原因ではない」と述べた。その上で自殺の原因は「分からない」とした。

北海道の私立高校、校舎内で高1男子が自殺
 〔読売新聞 2008年2月8日〕
 生徒は昨年度、出席日数が足りずに留年。昨年5、6月には、かつての同級生にからかわれたり、殴られたりしていたことがあったという。先月末には、母親が学校に「校外の知人に金をせびられているようだ」と相談。生徒自身も母親に「人生に疲れた」と漏らしていた。


学校内での子供の「自殺」・・・「学校」を選ぶということが、強いメッセージになっていると思うけれども、「関係ない」(校長)って?

こういう「悲劇」を、無くしてしまおうと心から願ってくれる大人が、日本には少なすぎるのか。
前にも書いたかもしれないが、せっかくこの日本に「生れてきてくれた」生命を、大切にしない国に、明るい未来なんか来ないと思う。


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by rabbitfootmh | 2008-02-09 13:31 | 医療/生命倫理

「臓器移植・脳死判定・延命措置、中国政府の思惑」   

日本で「臓器移植法」が施行されてから、16日で丸10年・・・だそうです。

10年にして「63例目の脳死判定」・「62例目の臓器移植」のニュースです。

脳死移植:62例目実施へ
 〔毎日新聞 2007年10月15日〕
 大津赤十字病院(大津市)に頭部外傷で入院中の50代女性が15日、臓器移植法に基づき脳死と判定された。女性は脳死で臓器提供する意思を示すカードを持ち、家族も同意した。同法に基づく脳死判定は63例目、移植は62例目。日本臓器移植ネットワークによると、心臓は20代男性に東京大病院で、肺は50代女性、小腸は20代女性にいずれも東北大病院で、肝臓は30代女性に北海道大病院で、膵臓(すいぞう)は50代男性、片方の腎臓は30代女性にいずれも京都府立医科大病院で、もう片方の腎臓は50代女性に滋賀医科大病院で、それぞれ移植される見通し。

そして、こちらは、救急医療の現場での「延命措置の中止」に、ガイドラインが設けられたという話。

呼吸器外し容認 救急医学会 終末期医療で初の指針
 〔東京新聞 2007年10月16日 朝刊〕
 終末期の定義は「脳死や脳血流停止」「数日以内の死亡が予測される場合」などと四分類した。治療の中止方法には▽人工透析、血液浄化などを行わない▽水分や栄養の補給を制限するか中止する-などを挙げた。薬物投与で死を迎えさせる「積極的安楽死」は認めていない。

 終末期医療をめぐっては、昨年三月に富山県射水市民病院で人工呼吸器外しが発覚。厚生労働省はことし四月に初の指針を策定したが、終末期の定義や治療中止の基準は盛り込まず、医療現場には「刑事訴追されない基準がない」と不満の声が出ていた。そのため、学会の指針は踏み込んだ内容になった。

「人間の死期」なんて、確実に「予測」できるもんでしょうか?
それから、このガイドラインの目的が、治療のために一旦は取り付けた呼吸器を外した医師が、「刑事訴追されないため」という、医療現場の苦しい事情を解決すること、というのも、なんとなくイヤな感じがするし。

結局のところ、日本では、「死」というものが分からなくなってしまっているから、こういう問題がややこしくなるのではないのだろうか。

2~3日前、アメリカの人気ドラマ『デッド・ゾーン』(原作・スティーブン・キング)の最新シリーズを見ていたら、事故で「脳死」状態になった少年の「思念」が、サイキックの能力がある女性に救いを求めにくる・・・という話でした。〔シーズン4 第47話「ダブル・ヴィジョン」〕
キリスト教は、「霊肉二元論」で、「肉体は滅びても、魂は天国へ還る」という考え方ですが、それが、肉体生命を軽んじる方に傾くと、ちょっと困ったことにもなるのかな、という気はします。

ドラマの方は、瀕死の息子を救ってくれない医師や、奇跡?を与えてくれない教会の司祭を逆恨みして殺そうとする父親の暴走を止めようと、「脳死」で病院のベッドに横たわったままの少年の思念が、サイキックの女性の口を通して、「パパ、大事なカメラを勝手に持ち出して、事故で壊してしまってごめんなさい」と、その少年でしか知り得ない事実を語ることで、父親が息子の「魂」の不滅を信じ、「死」を受け入れる覚悟を決める…というオチでした。

「目に見えないもの」を、信じる気持ちは、アメリカ人にはまだ遺っているのですね。
もっとも、そのドラマの父親と離婚した母親とは、中南米からの移民で、「熱心なカソリックの信者」という設定でしたので、プロテスタント系の信者が多いアメリカ人には、あまりいないタイプなのかもしれませんが・・・。

日本人も、もっと、「この世ならざる世界」のことを、考えても良いのではないでしょうか?
そうでないと、理解も解決もできない問題が、この世の中には、いろいろとありますから。

中国では、拘束された臓器移植の斡旋をしていた団体の代表者の名前が公表されました。
・・・って、だからぁ、問題なのは、「死刑囚の臓器は取り放題」っていう、ソチラの状況の方だと思うんですけど?



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by rabbitfootmh | 2007-10-16 23:55 | 医療/生命倫理

「んっ? 日本人を捕まえるための条例だったのか?」  

日本の「臓器移植」のことを書き込んでいたら、テレビのニュースで・・・

えーっ? なんじゃ、それりゃあ?
日本人に嫌がらせをするための条例やったんかぁ?!

04年~05年の2年間に、日本人が108人も移植手術を受けていたそうで、日本の厚労省も、なんらかの対応しなきゃいけないのでは、と思いますが?

臓器移植に絡み中国が邦人拘束 瀋陽総領事館に通報
 〔中国新聞ニュース '07/10/13〕
 【北京12日共同】中国遼寧省の瀋陽市公安局が、違法な臓器移植に絡んだとして「日本人男性を拘束した」と瀋陽の日本総領事館に通報していたことが十二日、分かった。
 (中略)
 中国政府は五月に、臓器提供者(ドナー)の意思尊重や臓器売買の禁止などを盛り込んだ臓器移植条例を施行、死刑囚からの臓器摘出や不透明な手続きを一掃する方針を打ち出していた。

 中国政府は、日本人男性を拘束することによって臓器移植問題に厳しく対処していることを国際社会に強調する狙いがあるとみられる。

 
 ※続報
臓器移植仲介、中国公安省が日本人逮捕
 〔読売新聞 (2007年10月16日〕
中国公安省は16日、中国で日本人に臓器移植を仲介していた「中国国際臓器移植支援センター」(遼寧省瀋陽市)の長瀬博之代表を「不法経営容疑」で逮捕した、と発表した。

 中国で臓器移植に絡んで日本人が逮捕されたのは初めて。

 


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by rabbitfootmh | 2007-10-13 13:13 | 医療/生命倫理

「脳死判定----現場医師が懐疑的?」       

小学校の運動会も終わり、「あ~やれやれ・・・」と気をゆるめた途端に、カゼを引いてしまいました。
主婦に「休み」は無いので、半日、半日と分けて寝込んで(?)なんとか「峠」は乗り越えましたが、まだ、セキと鼻水が・・・(T_T)
猛暑のバテが一気に襲ってくる頃かと思いますので、皆さんも、お気をつけくださいませー。


さて、8月末9月半ばに、「脳死判定による臓器提供」が行われた臓器移植が行われましたが、「臓器移植法」が施行されてから、今年で丸10年。どんどん臓器移植を実施したい人たちには、苛立たしい状況のようですが・・・。

また、子供の「臓器移植」への期待も大きいのですが、「脳死」と診断されながら、1カ月以上も「心停止」にならない子供たちが、日本全国にいることが分かったとの報道がありました。

臓器移植推進派の考え方では、「普通は」脳死状態になると、1週間以内に心停止する、ということのようですが、今回の調査では、もっとも長いもので、10年半近くも「脳死状態」の患者さんもいるとか。

アメリカでは、アラン・シューモン博士の研究で、20年間、身体も成長しながら「生き続けた」(としか言いようがない)少年の事例が公表されています。
 ※拙ブログ 「私憤を国会に持ち込む議員」(2005年05月23日)参照

日本では、「臓器移植でしか助からない」幼い子供たちが、莫大な費用を募金などで集めて、海外へ移植手術を受けに行くということを、マスコミが大々的に(感動的に)取り上げることが多いですが、臓器移植で救われる命の陰で、亡くなってゆく命もあるという視点を、忘れないでもらいたいものです。


・・・というか、
「脳死は本当に“死”なのか?」
ということを、もう一度、最初からきちんと考える必要があると、個人的には思うのですが。

「脳死」状態でも、身体は血色もあって温かく、汗もかくのだそうです。
「眠っている」ようにしか思えないのだそうです。

長期脳死児:診断後1カ月以上60人 全国病院調査
 〔毎日新聞 2007年10月12日〕
 脳死状態と診断された後、1カ月以上心停止に至らない「長期脳死」の子どもが全国に少なくとも60人いることが、全国約500病院を対象にした毎日新聞の調査で分かった。長期脳死児がこれほど多数に上ることが明らかになるのは初めて。臓器移植法は15歳未満の子どもからの臓器提供を認めていないが、年齢制限を撤廃する法改正案も国会に提出されており、議論を呼びそうだ。
 (中略)
 臓器提供を前提に、小児脳死判定基準が妥当だと思うかとの問いには、回答した医師270人のうち42%が「分からない」とした。理由は「長期脳死児を『死者』として受け入れることは、家族だけでなく医療者側も難しい。移植の道を閉ざすことはできないが、一定の配慮が必要」など。「妥当でない」は17%、「妥当」は12%だった。

脳死判定 病院側は消極的
 〔読売新聞 2007年10月12日〕
 臓器移植法施行後ほぼ10年が経過しても脳死下の臓器提供が増えない背景には、臓器提供を前提とした脳死判定に消極的など、病院側の姿勢に問題があることが、有賀徹・昭和大医学部教授(救急医学)らの調査で分かった。
 (中略)
 脳死移植が進まない理由として、回答した施設は〈1〉(法的な)脳死判定に消極的〈2〉脳死判定のための人員、設備など体制の未整備〈3〉家族の申し出がない――などを挙げた。脳死判定に消極的な理由として、「脳死判定は時間がかかり、面倒な仕事になる」「マニュアルの不備」が上位を占めた。

臓器移植法の早期改正求め、決起集会…患者団体
 〔読売新聞 2007年10月8日〕
 臓器移植を受けた患者などで作る日本移植者協議会は7日、今月16日で臓器移植法が施行10年を迎えるのを機に、脳死下の臓器提供を増やすための法改正を求める決起大会を東京都中央区で開いた。

 移植医や患者家族が法改正の必要性を訴えた。参加者は「書面による本人同意を義務づける日本の法律は特異」とし、早期の法改正を要求した。一方、東京都港区では7日、弁護士や医師、倫理学者が脳死や終末期医療をテーマにしたシンポジウムを開き、脳死移植の拡大に否定的な見方も交えて意見交換した。

 

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by rabbitfootmh | 2007-10-13 12:51 | 医療/生命倫理

「結局は“脳死ドナー”を増やす法律を作れと・・・?」   

「生活習慣病を予防しよう」という話でサンドイッチ状態にしてありますけど、この方がいつも一番言いたいことは、「もっと日本での臓器移植を増やそう!」ですね。

【正論】太田和夫 急増する糖尿病からの透析患者
 〔産経新聞 2007/06/05〕
 ≪提供者少ない臓器移植≫

 平成9年7月16日に臓器の移植に関する法律が公布された。付則の第2条に「この法律による臓器の移植については、この法律の施行後3年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、その全般について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする」と明記されているにもかかわらず、10年近くの歳月が過ぎても何の対応もされないのは国の怠慢としかいえない。



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by rabbitfootmh | 2007-06-06 23:56 | 医療/生命倫理

「学校の成績と、恋愛の上手い下手に相関関係は・・・」        

「ありません」から (^^;

そこんとこ、よろしく。

【溶けゆく日本人】乱れる性行動 (5)「間が持たぬ」と相手変え
 〔産経イザ! 2007/06/01〕
 「えっ、間が持たない?」
 エイズ(後天性免疫不全症候群)予防研究のため、中学・高校生らの性行動について全国でインタビュー調査を重ねている木原雅子・京都大学大学院医学研究科准教授(社会疫学)は、西日本に住む高校2年の女子生徒が発した言葉に耳を疑い、思わず聞き返してしまった。

 生徒はトップクラスの成績で、国立大学を受験する予定だという。彼女がこれまでに性関係を持った男性の数は6人。なぜ相手が次々と変わるのか理由を尋ねたところ、「間が持たないから」と答えたからだ。
そもそも、「間が持たない」と言ってる中高生は、その意味するところが、よく分かってないんじゃないのか?
調査してる先生や、この記事を書いてる記者も、「間が持つ・持たない」という表現を、どういう意味合いで使っているんでしょうか?
 なぜ間が持たないのか-。インタビューで若者たちは、こう返答した。「テレビドラマのように、スマートに相手とおしゃべりができない」「あの女優さんのような雰囲気が醸し出せない」…。

 愛情を確認するために、性関係を持つ。理解を深めたと思うが、それでも間が持たないからと、もっと自分に合いそうな相手を探す…。
「会話が成り立たない」「おしゃべりがはずまない」って意味なんですか?

うーん・・・謡をかじった経験から日本的な「間」について考えますと、そういうもんじゃないのよね、「間」って。
いや、そんな伝統芸能の話をしなくても、吉本新喜劇や関西の漫才を楽しんできた大阪人としては、「間」って、そういうもんとちゃうやろ・・・とツッコミたくなりますが。
 「以前は、娘にボーイフレンドから電話がかかると、『なに、長電話してるんだ。早く切りなさい』と怒り出す父親がいたように、親子の間でそうした(共有空間の中の)緊張関係がありました」。だが、子供に個室が与えられ、携帯電話も普及するなど「個」の世界が広がることによって、親は自分の子供の行動や考えを把握することが、年を重ねるごとに困難になっているという。

 そんななかで今、家庭ではどんな対応が必要なのか-。木原准教授は言う。「温かくて頼れる人間関係の心地よさを感じられるように育ててほしい。それを知らないと、ほかの人間関係もうまく築けない」
あのさぁ・・・(笑)

自分が気に入った相手との恋愛(なんて上等なもんではなかったけど)を、厳格な親の監視の下でいくつか潰されてきた「娘」の一人としては、「あの頃、ケータイがあったら、もう少しうまく恋愛できてたかもしれない」と思うんですよねえ(遠い目・・・)

恵まれた家庭環境だったとは思いますよ。
でも、親と「温かくて頼れる人間関係の心地よさを感じられ」たかというと・・・「???」だったんですわ。思春期・反抗期以降はね。

・・・ま、それが成就したかどうかは別問題として(^^;ahahaha
 批判が広がる「性行動の乱れ」、潜在・陰湿化する「いじめ」…それらは親子関係を基本とした「人間関係構築」の習得不全の“象徴的な表れ”であるということを、親は認識したほうがいいということだろう。(篠田丈晴)
なんで、そういう「結論」(ですか?!)になるのか、ぜんぜん納得できません。

今の「親子」の関係がうまくいってないということは、そのもう一つ上の世代の親子関係も、うまくいってないことが多かったってことだと思います。



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by rabbitfootmh | 2007-06-02 23:55 | 医療/生命倫理

「ドナー不足、臓器不足、死体不足・・・」

臓器移植をして助かった命は、「プラス1」ではなくて、その裏でレシピエントに臓器を提供した人の命の「マイナス1」があることを、サンケイ新聞は伝えようとしません(※注1)

もっとも、一人のドナーから摘出された心臓・肺×2、肝臓(分割できれば×2~3?)・腎臓×2、膵臓・・・で、数名のレシピエントが移植を受けられるので、「マイナス1」プラス「数名」なら、助かる命は増える、という考え方なのでしょうけれど・・・。

【主張】臓器移植法改正 先送りはもう許されない
 〔産経新聞 2007年5月22日〕
 世界的なドナー(臓器提供者)不足のなか、移植する臓器がなく、命を落とす患者は後を絶たない。一刻も早く審議入りして改正案を成立させ、ドナーを増やす手立てとしたい。
 ・・・・
 宇和島徳洲会病院の病腎移植やフィリピンの臓器売買、中国の死刑囚ドナーの背景に、深刻なドナー不足があることはもはや言うまでもない。

 欧米の移植先進国はドナー不足を解消するため、努力を続けている。日本はまず、ドナーを増やせるように法律を改正すべきである。
「臓器の闇マーケット」があるのは、フィリピンだけではありません。インドや東欧の貧しい地域では、日々の生活のために、自ら腎臓を闇商人に売っている人たちがたくさんいます。

政治リーダーの都合で捕まえては「死刑」を言い渡すような国で、どれほどの臓器ドナーが「生産」されているのか知りませんが、それだけやっても「世界的な臓器不足」は解消しないのですから、どんなに緩い法律であっても「合法的」なシステムの下で、移植用の臓器数が充足するとは考えられません。
 

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つづきを読む....
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by rabbitfootmh | 2007-05-22 11:52 | 医療/生命倫理

「時間とお金、労力がかかった社会科見学・・・はぁ?!」

「代理母出産」と「離婚後300日以内」のニュースは、テレビや新聞で見かけるたびに気になりつつ、忙しさにかまけて更新をサボっておりました。

個人的には、「向井さんの言い分」って、よく理解できないんですけど・・・。
「戸籍上(書類上の)養子」とすることと、DNA上の両親が日本人で、本人も日本に住んでいるのに「在日アメリカ人」であることと、どっちが子供たちに理解させやすいでしょうか?
パスポートも、「アメリカ」に発行してもらうわけですよね?

代理出産の向井亜紀さん夫妻が会見 日本国籍取得を断念
 〔アサヒコム 2007年04月11日〕
 男児は米国人として外国人登録し、この春から幼稚園に通い始めている。このため、具体的には、特別養子縁組のうち外国人を養子とする「国際特別養子縁組」が考えられる。この場合、米国法上は実の親の向井さん夫妻が「同意者」になり、同時に申請者にもなるという不自然な形をとって申し立てることを余儀なくされる。
 (中略)
 向井さんは「時間と労力をかけたのに得るものが少ない『社会科見学』だった」と裁判を振り返り、「代理出産に関する立法にあたっては、経験者の意思を聞いてほしい」と話した。
代理出産で親子認めず「がっかり…」向井亜紀さん夫妻会見
 〔読売新聞 2007年4月11日〕
 タレントの向井亜紀(42)さん夫妻が11日、東京都内で会見し、代理出産で生まれた双子の男児(3)との母子関係を認めなかった先月23日の最高裁決定について、「正直、がっかりした。子どもたちが成長した時に、なぜ認められなかったのか、説明しても理解出来ないと思う」と語った。
「社会見学」という言葉、すごく違和感あります。自分自身が真剣に“闘った”と考えるなら、こんな自虐的で軽い表現で自ら茶化してはいけないのではないでしょうか?

「性道徳、貞操義務」崩れる 長勢法相、300日問題で
 〔アサヒコム 2007年04月06日〕
長勢法相は6日の閣議後会見で「性道徳や貞操義務についても考えないとならない」と述べた。法務省は同日に一部見直しをする民事局長通達案を正式発表。同省側は「通達を出せば立法は必要ない」と対決姿勢を強めている。
「性道徳や貞操義務」?! 誰の? 妻の? 夫の?

民法の300日問題、公明が議員立法めざす考えを強調
 〔アサヒコム 2007年04月11日〕
公明党の北側一雄幹事長は会合後の記者会見で「戸籍上は夫婦関係にあっても、様々な理由で婚姻解消ができないケースはある。貞操義務の次元の話でなく、法制度の不備をいかに是正していくかだ」と議員立法をめざす考えを強調した。
こっちの考え方の方が「現実的」ではありますよね。

以前にも書いたかもしれませんが、「女性の再婚禁止期間6カ月」も「離婚後300日以内に」生まれた子は前夫の子と推定する」というのも、医療技術が発達する前の話です。
「子供は夫の家の後継ぎ」という考え方の強い社会慣習に合わせた法律だと思います。
離婚後直ぐに元妻が産んだ子は「夫の家のもの」という慣習が、乱されないためのものでしょう。

熊本の「こうのとりのゆりかご」の一件も、根っこは同じだと思いますが、日本というのは、はっきりとした宗教の教義が無い国である上に、戦後は「国家神道徹底排除」で、他の多くの諸国が「宗教」の力によって守っている、倫理的・道徳的な社会規範がありません。

だからといって、「性道徳」や「貞操義務」を、法律の文言で規定してしまって大丈夫なんでしょうか?
「法の規定が緩くなったら、国民のモラルが崩壊する」という発想は、ちょっとコワイような気がします。


 ※参照ブログ
◆(まめ)たぬきの雑記 「国民と考え方のずれた人たちに任せてよいのかな」(4/10)
               「男性に貞操義務はないのか?」(4/7)
◆ぶるうすかい blueskyblue の保健室
  最高裁敗訴した向井亜紀 自ブログに責任転嫁と言い訳  向井亜紀のこと(4/13)
 


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by rabbitfootmh | 2007-04-11 23:55 | 医療/生命倫理

「現行民法は古い・・・でも現実に媚びる必要は無い」

この裁判が話題になった去年の10月にも、自分の意見をまとめたのですが、こうしてマスコミが「大騒ぎ」に加担するにつれ、「いいんじゃないの?」という容認派が増えているのだとしたら・・・そして、そういう世論の勢いで、なし崩し的に法改正が行われて、「場外乱闘」的な代理出産の事例が増えることで何か社会問題が起きたとしたら、向井・高田夫妻は、その「責任」を負っていけるのでしょうか? そこまで考えているのでしょうか?

 ◆「向井さんちだけ、なぜOKなの?!」(2006/10/01)
 ◆「親子の絆とは?」(2006/10/10)

付和雷同が好きな日本という国においては、「有名人」というのは、何をするにしても、自分たちが世間に広く与える影響と、それによって引き起こされると予想される結果について、できる限り慎重であってもらいたいと思います。

【主張】代理出産 速やかな対応を求めたい
 〔産経新聞 2007年3月24日〕
 代理出産の事実を伏せて区役所に出していれば、出生届は受理されたはずである。実際、海外の代理出産で生まれた100人以上の子供が、実の子供として受理されているという。

 向井さん夫妻は代理出産の事実を公表した。隠していれば、実子となり、正直に申請すると、親子になれない。向井さん夫妻は、こうした矛盾点に一石を投じた

・・・いや、そういう問題じゃないでしょ? それは、問題の本質をすり替えてるんじゃないのか?

現実が先行 生殖医療 「借り腹」容認4割超
 〔読売新聞 2007年3月24日〕
 厚生労働省の生殖補助医療部会が同月にまとめた報告書でも、「代理出産は、人を生殖の道具として扱い、第三者に多大な危険性を負わせる」として、罰則付きで禁止すべきだとする方針を打ち出している。

 代理出産を規制する考え方の背景には、倫理面での問題に加え、妊娠・出産のリスクがある。医療が進歩したとはいえ、日本では出産10万件あたり6人程度の妊産婦が死亡している。海外では、代理母が流産後に死亡したケースも報告されている。50歳代の祖母に娘の子を産ませた根津医師の医療にも、リスクが高いとの理由で疑問の声がある。

 また、米国では、代理母に約300万円の報酬と、同額の手数料を仲介業者に支払うのが一般的。渡航費などを含め、出産までに数千万円かかるのが常識で、「裕福な依頼者が、経済的に弱い立場の代理母を、産む道具にしている」という批判は根強い。

確かに、日本の「家族」に関する民法の内容は、かなり「現代社会」の実情や国民の心情とはズレてきていて、それによる「不都合」がいろいろと生じてきていることについては、法律の方を改めてゆく必要があるとは思うけれども、今後数十年経った時に、法改正がきっかけとなって、社会全体のモラル(良識的な歯止め)が失われてしまった、早まった、失敗だった、と後悔するこ日が来ないように願いたい・・・というのが私の個人的意見です。


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by rabbitfootmh | 2007-03-27 01:33 | 医療/生命倫理

「脳死・臓器移植・・・今年2例目」

私としたことが・・・今年初めての「脳死判定>臓器移植」についての記事を書くのを忘れていました。

一つだけ、記事がWeb上に残っていました。

51例目の脳死移植進む 全手術終了は14日
 〔西日本新聞 2007年02月13日21時20分〕
 愛媛県立新居浜病院で脳死と判定された20代男性からの、国内51例目となる脳死移植が13日午後から、各地の病院で行われた。

 日本臓器移植ネットワークによると、心臓は埼玉医大病院で拡張型心筋症の50代女性に、肺は岡山大病院で原発性肺高血圧症の20代男性に、肝臓は北海道大病院で先天性肝・胆道疾患の20代男性に、膵臓と片方の腎臓は九州大病院で1型糖尿病の40代男性に、もう一方の腎臓は愛媛県立中央病院で慢性腎不全の60代女性に、それぞれ移植が進められた。

 手術がすべて終了するのは14日午後の見通し。

 提供者の男性は頭部外傷のため入院中で、脳死と判定されたのは12日夜。小腸の提供意思も示していたが、医学的理由で断念された。

今日は、53例目の脳死判定のニュース・・・。

53例目の脳死判定 札幌医大病院
 〔アサヒコム 2007年02月25日19時49分〕
 札幌医大病院(札幌市)で入院中の20代の女性が25日、臓器移植法に基づく脳死と判定され、臓器が摘出された。97年の法施行後、53例目の脳死判定で、脳死臓器移植としては52例目。

 日本臓器移植ネットワークによると、心臓が国立循環器病センター(大阪府吹田市)で40代女性、右肺が大阪大で40代女性、左肺が岡山大で40代女性、肝臓が東京大で30代女性、膵臓(すいぞう)と左の腎臓が九州大で30代男性、右の腎臓が市立札幌病院で50代男性、小腸が東北大で20代男性にそれぞれ移植される予定だ。
どちらのドナーも、20代という若さ亡くなったのですね。

これまでの、「脳死・臓器移植」のレシピエントのその後の健康状態も、継続的に報道してもらいたいですね。


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by rabbitfootmh | 2007-02-26 00:07 | 医療/生命倫理
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