二条河原落書

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「体外受精訴訟:死後の凍結精子でも父子認知」


a0037706_13201698.gif「医療の進歩」がもたらした現実と実利益を優先して、法律を改正する方向へ向かうのか? それとも、あくまでも現行法に忠実な“解釈”による判断を貫き通すことが良いのか?

この判決の事例は、原告の実利的な訴えを認めながらも、法解釈的には「父親の死後3年以内の死後認知」という現行法に従っており、「前例」は作ったものの、将来的な展望も生殖医療の進むべき方向性も示し得なかった、ということで、人類全体が直面するであろう深刻な問題を先送りしたに過ぎないように思う。 (み)

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◆体外受精訴訟:死後の凍結精子でも父子認知~原告逆転勝訴
 〔毎日新聞 2004年7月16日 13時21分〕


<事の経過~論点整理>

夫は白血病で、骨髄移植手術に際し無精子症になる恐れから、98年に
医療機関で精子を凍結保存。

しかし、夫は、99年9月に死亡。

その後、死亡した夫の妻が医療機関から凍結精子を受け取り、別の医療
機関で体外受精して、01年5月に男児を出産。
〔体外受精が成功したのは00年6~7月頃?〕

男児を嫡出子として役所に届け出たが、父親の死後300日を経過してい
たため民法の規定で認められなかった。
妻が男児の法定代理人として、02年6月に松山地裁に、民法上の父子
関係の確認(死後認知)を国側に求めて提訴した。

1審・松山地裁判決は『社会通念上、今回のようなケースで父子関係を
認める認識は乏しい。亡父が死後の出産に同意していたとは言えない』
などとして03年11月に請求を棄却していた。

原告側(男児と法廷代理人の妻)は、『夫は死後の妊娠・出産を望んで
おり、憲法13条の「幸福追求権」などを基に「戸籍に父の名が記載され
ること」が子どもの福祉にかなう』などと主張高松高裁に控訴。

松本信弘裁判長は、請求を棄却した1審の松山地裁判決(03年11月)
を取り消し、父子関係を認める判決を下した。

<問題点>

この事例は、精子提供者の死後体外受精に関する初の父子認知で、
生殖補助医療に大きな影響を与えるのは必至。

民法は、父親の死後3年以内なら死後認知を提起できると規定して
いるが、死後の妊娠・出産については規定がない。
想定外の事例であり、国は法整備も含めた対応を迫られることにな
るであろう。

<補足情報>

1審・松山地裁で国側は『夫は凍結保存の際に「死後は精子を廃棄
する」と記載した依頼書に署名押印しており、認知によって子どもに
養育などの具体的実益もない』と反論していた。

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by rabbitfootmh | 2004-07-20 13:14 | 医療/生命倫理
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