二条河原落書

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「漢文には儒教。それなら・・・」  

「西欧文学にはギリシャ哲学とキリスト教学をセットでどうぞ」

3月2日のエントリーのコメント欄でも紹介しましたが、私が中学生の時に習った英語塾の教師は、「西欧の言語を勉強するには、『聖書』の知識が必要」と、ほんの“さわり”だけですが、英文の聖書物語を教えてくれたものです。

ハリウッドの騒々しい映画を観るにも、キリスト教の知識を持っているのといないのとでは、理解の深さや面白さが違ってきます。(ハリーポッターなんかは、カンケーない・・・かな?)

『ダ・ヴィンチ・コード』の登場を待つまでもなく、西欧の文学の「思想的歴史的背景」には、ギリシャ哲学やキリスト教、あるいは、「デカンショ(デカルト、カント、ショーペンハウエル)」をはじめ、ヘーゲルなどの哲人が数多おりますから、それらを必修にするとか、ドイツ語教師には、ルター訳の聖書の勉強を必修にするとかしなければ、片手落ちではないのでしょうか?

【正論】加地伸行 儒教知らずに漢文を教える教員とは
 〔産経新聞 2007/06/13〕
 ところが、突如文部省が「中国哲学」という科目を「漢文学」の単位として認定しないと決めたのである。そしてなんと「中国哲学」は社会科の教員免許状の単位「哲学」に認定するとしたのである。
 これは文部省の無知と誤解とが最大原因である。「漢文学」とは、「漢文」に関する「学」、すなわち「漢文で書かれた文章」に関する「表現や語法、思想的歴史的背景などを体系的に組織した学」という意味である。だから、中国哲学における儒教や老荘思想といったものを学習することが当然に必要であり、そうしてきたのである。

 ≪「漢文」学と「漢」文学≫

 ところが、文部省(事実は審議する専門委員の学者たち)は、その無知からなんと「漢文学」を「漢」の「文学」、すなわち「中国」の「文学」と大誤解し、「中国哲学」は「漢文学」にあらずとして追放し、「中国文学・語学」のみを「漢文学」として認定すると決定したのである。
 もちろん、われわれ中国哲学研究者は猛反対したが、彼らは強引に押し切った。そして20年。結果はどうであったか。

 儒教も老荘思想も中国史も知らない国語教員が漢文を担当しているのである。教えられるわけがないではないか。これがわが国の古典教育のザマなのである。
だいたい、「儒教」というのは、哲学ではなくて、宗教だという説もあります。
「君子」というのは、完成した人格を持つ人・・・つまり、仏教でいうところの「覚者(ブッダ)」に近いものではないのでしょうか?
 と書いていて、たまたまこういう記事と出会った(産経新聞夕刊5月26日付)。マルクス主義経済学者だった故大内兵衛・元東大教授が、昭和13年、治安維持法違反容疑で警察に拘置されたとき、同じく拘置されていた共産党員の求めに応じて作って贈った「漢詩」が三鷹市の社会運動資料センターで見つかったと。そしてその全体が写真入りで紹介されていた。
 しかし、それは「漢詩」ではない。漢詩というならば、漢詩の作法(韻や平仄(ひょうそく))に従わねばならないが、読むとまったく作法に合っていない。よく言えば漢詩の七言絶句風にして書いた漢文である。悪く言えば、漢詩もどきの漢字陳列である。それを「漢詩」と紹介する若い記者は、現行の不十分な漢文教育を受けた犠牲者といえようか。
大内兵衛氏の「漢詩」がどういうものかは知りませんが、加持氏の言うような堅苦しい?「漢詩の作法」が確立したのは、唐の時代以降に定められたもの(近体詩)であって、日本で編まれた『懐風藻』に収められた漢詩などは、まだ厳格に韻律を踏んでいないのでは?
 国語における古典教育、わけても漢文教育の重要さとは、なにも四字成語をはじめとして、古典の物知りを作ることではない。明治以後の現代国語の骨格となる論理性を作ったのは、漢文脈なのであり、その漢文脈は漢文学習によって身につくのである。
 明治初年から敗戦に至るまでの公文書における漢文脈を抜きにして、近代日本人の論理的思考の展開はなかったといって過言ではない
えーーーっ?! それって、マジで言ってますか?(^^;

蛇足ながら、25年前に私が中学の国語の教員免許を取得する際に習った「漢文」は、『論語』や『漢詩』でもなく、「四書五経」や「大学」などでもなく、『項羽本紀』のごく一部でありました(笑)
中国史も、高校でざーっと習ったのが最後です m(_ _)m

※補足(6/16)
大内兵衛氏の「遺作」の軸の写真が載った記事が、四国新聞のサイトに残っていました。
警察でつづった漢詩発見/69年ぶり、大内兵衛氏遺作〔2007/05/26 08:26〕
 朝見梟盗摧銕錠
 夕聞王師圧徐州
 誰云幽囚必徒然
 別有史眼壷中濶

 「とらわれの身では何もできないと人は言うだろうが、自分には歴史を見る目が備わっており、留置場に閉じ込められても、狭苦しいとは思わない」との心境を伝えている。

※参照ブログ
♪政治犯は~気楽な稼業ときたもんだ!
 〔「社怪人日記2007  2007-05-27〕


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by rabbitfootmh | 2007-06-14 23:57 | 子育て/教育
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