「産業経済新聞にはマクロの視点が無い」
◇【産経抄】5月17日
米国民といえば「カー・ネーション」といわれるほど車は日々の生活に欠かせない。四輪車を大衆化させたのはフォードのT型だし、豊かな時代の象徴はGMのキャデラックだ。そのビッグ3の一角をなす名門クライスラーが、業績不振でドイツのダイムラー傘下から放逐されるという。ビジネスに「名門」は何の役にも立たなかった。日常生活に車が欠かせないことはもちろんだろうけど、「自動社産業」が、アメリカの屋台骨を支える基幹産業なんだから、それがコケたらアメリカというコッカもコケるんですよ。
んでもって、アメリカがコケたら、日本も大変なんですよ。
分かってますかあ?
▼「クライスラーの自殺」を予感したのは、はるか以前の90年代はじめのことだ。北米市場をホンダ、トヨタの日本勢に奪われたからだけではない。再建神話をつくったはずのアイアコッカ会長が、政治だのみの経営に走ったからだ。ほ~ぉ、産経抄子は予言者だったんですか?
▼氷点下のワシントンで、あの大男がホワイトハウスに押しかけて先代のブッシュ大統領に直談判した。記者たちは厳寒のホワイトハウスの前で2時間近くも待たされた。会長が出てきていったのは、日系メーカーの車を総量規制しろというムシのよい要求だった。
▼経営責任を人に転嫁するようではダメだな、というのが現場での印象である。「再建の神様」は地に落ち、「覇者の驕(おご)り」が会社の屋台骨をむしばんでいた。自動車の都デトロイトが地盤の議員を動員して、日本叩(たた)きに奔走したものだ。
「事件は現場で起こってる」んでしょうが、「現場の感覚」だけでは、国際情勢は読めませんよ。
当時、故・橋本龍太郎氏が竹刀片手にアメリカへケンカをふっかけに行きましたけど、橋龍があれで「手柄」を立ててたら、日米の貿易不均衡はますます広がり、アメリカは「双子の赤字」で倒産して、日米安保にまでヒビが入り、今ごろ日本は、中国の軍事力に怯えて暮らす・・・ついでに、某国の将軍様に屈辱的な貢ぎ物を続ける、ということになってたかも?
「アイアコッカ氏が、自分の経営手腕のまずさを棚に上げて日系自動車メーカーいじめ」をした(とマスコミが勘繰っている)ことと、今回の「身売り」とは、切り離して考えるべきでは?
世界情勢は刻々と変化しているんですよ。
それは、「現場」からは見渡せないのです。
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