二条河原落書

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「改正臓器移植法の問題点」

4カ月ぶりの更新です。
公私ともに、なにやかやと忙しかったのが、やっと一段落(^^;

さて、「復活第一弾」は、重たい話になってしまいましたが、どうしても気になる事なので、自分自身の頭の中の整理を兼ねて書いてみます。


7月17日に「改正臓器移植法」が施行されて後、初適用されたのが8月9日。一昨日の9月7日に脳死判定が行われた事例で、すでに「7例目」である。
しかも、10代(と思われる)、20代、40代と、若い脳死患者が「次々と」という印象を受ける。

これで、1997年10月16日に施行された「臓器の移植に関する法律」によって実施された「脳死臓器移植」は、94例目である〔移植の実施に至らなかった事例が1件あるので、脳死判定は95例目〕。

国内での「脳死臓器移植」の推進が図られた原因は、主に二つ。

一つは、「移植待機患者」の需要数に対して、供給される「臓器」の数が圧倒的に「不足」していること。
これは、日本国内だけに限らない、世界的な現実である。

二つは、先天的な病気を持って生まれた乳幼児の移植が、日本国内では行うことができず、欧米などへ渡航し、他国の脳死患者からの臓器提供を受ける事例が増えてきたことに対して、「日本人が不足する臓器を奪っている」という批判に対処するため。

 ※体の小さな子供には、大人の大きな臓器が提供できないので、
  子供の脳死ドナーが必要なのだが、日本では改正前の臓器移植
  法では、15歳未満の臓器提供が許されていなかった

加えて、海外渡航しての移植手術は、待機期間を含めると「1億円」を超える膨大な費用がかかり、たいていは「○○ちゃんを救う会」などの看板を掲げて、善意の募金に頼るしか術が無いこともある。

移植手術を待つ患者さんたちの願いは、切実なものとして受け止めたいし、なんとか救う道を開いて上げたいと思う。

しかし――である……

 「もっと新鮮な臓器がたくさん欲しい」

移植医療を推進させたい人たちのホンネは、コレである。
ああ、オソロシイ……

上に述べた二つの「原因」に共通するのは、「臓器の不足」である。

「不足」とはどういうことなのだろうか?
充足しているべきものの量が足りないということなのか?
「不足」している状態は、許されないことだというのか?

公式の医療世界での「不足」を補うため、臓器売買を行う「ブラック・マーケット」は、世界中に公然と存在している。
貧困国では、日常の生活費を得るために、自らの臓器を売る人たちも少なくないし、拉致・誘拐して臓器を取るようなことも行われている。もちろん、臓器を取られた人は殺されている。
また、中国では、死刑囚の臓器が移植用に摘出されているようだ。
(まるで『鋼の錬金術師』の「第五研究所」みたいだ)

「移植でなければ助からない命を救いたい」
「移植できれば元気になる人たちを救いたい」という大義名分もあろうが、ホンネは「もっと臓器を!」だ。

もちろん、医者としての使命感から「移植技術で救いたい」という善意の人たちがいることは否定しない。
しかし、その場合であっても、「未だ本当の死に至っていない脳死状態の人からの臓器摘出は、その人の魂の“安らかな帰天”を妨げ、恐怖と痛みを与える」という事実は変えられない。
そして、それが宗教的には「悪」であるという真実も覆せはしない。


「(脳死状態になった娘を)誰かの役に立てたい。体の一部がどこかで生きていてくれたらうれしい」

「もう助からないのであれば、どこか体の一部が生きていればうれしい。元気な体なのでたくさんの人の役に立ってほしい」


脳死ドナーの家族のコメントだが、「体の一部」はどこまでも一部である。万物すべてに魂が宿ると考える日本人には、違和感の無い表現なのかもしれないが、互いに似過ぎているのもキモチワルイ気がする。

やはり、「提供意思」を家族に確認する過程を、もっとオープンにしてもらわなければ、信用できないのではないか?
「個人情報」とか「プライバシーの保護」の名目で、隠されるべき問題ではないと思う。

国内初の「脳死判定」の事例の時に、高知の赤十字病院周辺で大騒ぎしてしまったマスコミは、自分で自分の首を締めてしまったのだろうが、このまま「脳死患者からの臓器提供」が、なし崩し的に増加するような事態を、傍観しないでもらいたい。

 ◇臓器移植法のもとはじめて行われた高知赤十字病院「脳死」臓器摘出・移植で、
  見えてくるもの
 http://pikaia.v-net.ne.jp/koutikensyo.html


日本臓器臓器移植ネットワークへの「意思登録者数」が8月に入って急増したらしいが、「臓器提供拒否」の意思を示す人たちの割合が増えたようだ。

 ◆臓器提供「拒否」が急増
 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=30411

登録しておけば、本当に「拒否」の意思を反映してくれるんでしょうね?

改正移植法施行後初の脳死ドナーとなった男性は、臓器提供意思表示カードは持っておらず、健康保険証や運転免許証などにも提供意思や提供を拒否する記載も無かったため、家族の同意で提供されたと報道されていた。

「家族であっても、自分自身の意思を勝手に決定されてたまるか」という人たちも、少なくないのかもしれない。

<参照サイト>
◇改正臓器移植法は実に巧妙な世論誘導の道具になっているのでは?
日々是好日 http://p.tl/MWRt
◇臓器移植の現状に思う。
チェ_アルデバラン http://p.tl/amnz
◇家族の承諾による臓器提供が増えている
5号館のつぶやき http://p.tl/n34r
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by rabbitfootmh | 2010-09-09 13:32 | 医療/生命倫理
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